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Introduction

第151回直木賞を受賞した『破門』や、『後妻業』などで人間を突き動かす欲望を描いてきた黒川博行の重厚な傑作小説を、名匠・原田眞人監督が待望の映画化。監督の熱意が伝播し、歳月を懸け実現した本作の主演は、第46回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した安藤サクラ。日本映画界を牽引する両名が初タッグを組み、大胆かつ疾走感ある映像をスクリーンに焼き付ける。そして、安藤サクラ演じる主人公ネリの弟・ジョー役には山田涼介。映画『燃えよ剣』以来の原田監督作品に出演し、気迫のこもった演技で新境地を魅せる。
ネリの“生きにくい世界を生き抜く美しさと強さ”を映し出す安藤サクラと、ジョーの抱える異常な愛と衝動に狂う姿を表現した山田涼介の二人が魅せる化学反応。さらに犯罪組織や警察といった姉弟の周囲で蠢く登場人物に、生瀬勝久や江口のりこ、吉原光夫、宇崎竜童といった多くの豪華俳優陣が脇を固め、名実ともに日本映画界の最前線を駆け抜ける傑作が誕生した。

姉弟が向かう先は“天国”か“地獄”か?
予測不能のクライムサスペンス
エンタテインメント!

Cast

安藤サクラ as 橋岡煉梨(ネリ)

自分の知らない世界だったので登場人物たちのキャラクターの魅力にとてもワクワクしました。…

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自分の知らない世界だったので登場人物たちのキャラクターの魅力にとてもワクワクしました。山田さんは本読みの時から「あ、矢代だ!ぴったりだな!」と思っていました。私と山田君でどんな化学反応が起きるのか楽しみです。原田監督とは自分が思ったことを色々相談するようにしています。集中すべき時に集中して、 “自分らしくいる”という過ごし方ができるとてもメリハリのある現場で毎日楽しく過ごしています。色んなキャラクターの俳優さんたちが交わって、どのシーンも楽しく魅力的で観たことのない化学反応を起こしていきますので、是非ご期待ください。

PROFILE

1986年2月18日生まれ、東京都出身。2007年に奥田瑛二監督作『風の外側』で俳優デビュー。映画『百円の恋』(14)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞ほか数々の賞を受賞し、『万引き家族』(18)で自身二度目となる日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。さらに、映画『ある男』(22)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞に輝くなど映画、ドラマなど映像作品を中心に第一線で活躍。主な出演作は、NHK連続テレビ小説「まんぷく」(18-19)、ドラマ「ブラッシュアップライフ」(23/NTV)、映画『0.5ミリ』(14)、『白河夜船』(15)、『追憶』(17)などがある。公開待機作に映画『怪物』(23年6月)が控える。

山田涼介 as 矢代穣(ジョー)

安藤さんは、実はたまたま一度、プライベートでお会いしたことがありました。…

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安藤さんは、実はたまたま一度、プライベートでお会いしたことがありました。すごく気さくな方で、お姉ちゃん役と聞いた時は安心感がありました。安藤さんだったら委ねられるな。安心してやらせていただこうと思いました。原田監督とは、一度映画でご一緒しましたが、毎日本当に緊張感があり、命を削っているような現場でした。どんなシーンでも緊張感がある現場というのは、なかなかなく、貴重な経験だと思って一生懸命やっていたので、またお声掛けいただいてとても嬉しかったですね。是非、ハラハラドキドキしたスピード感溢れる本作を楽しみに待っていて欲しいと思います。

PROFILE

1993年5月9日生まれ、東京都出身。Hey! Say! JUMPのメンバーとして2007年にメジャーデビュー以降、アーティストのみならず俳優としても活躍。映画初出演を果たした『映画 暗殺教室』(15)で、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。さらに映画『グラスホッパー』(16)で日本映画批評家大賞新人男優賞、2017年には『ナミヤ雑貨店の奇蹟』と『鋼の錬金術師』でキネマ旬報ベスト・テン新人俳優賞を受賞する。本作のメガホンを取る原田眞人監督作品への出演は、『燃えよ剣』(19)以来となる。

生瀬勝久 as 高城政司

PROFILE

1960年10月13日生まれ、兵庫県出身。大学在学中に関西の人気劇団に入団し、俳優のみならず劇作家・演出家として活動。1988年のNHK連続テレビ小説「純ちゃんの応援歌」への出演以降、テレビドラマや映画、舞台などを中心に活躍。近年の主な出演作は、舞台『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』(22)、映画『マスカレード・ホテル』(19)、『コンフィデンスマンJP シリーズ』 『天外者』(20)、『あなたの番です 劇場版』(21)、『水は海に向かって流れる』(23年6月)などがある。公開待機作品に、映画『法廷遊戯』(23年11月)が控える。

宇崎竜童 as 曼荼羅(上松)

PROFILE

1946年2月23日生まれ、東京都出身。1973年にダウン・タウン・ブギウギ・バンドを結成しデビュー。「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」「スモーキン’ブギ」など数々のヒット曲を生み出し、作曲家としても多数のアーティストへ楽曲を提供してきた。さらに自身のライブの他、映画・舞台音楽の制作、俳優など幅広く活躍。主な出演作は、映画『破門 ふたりのヤクビョーガミ』(17)『ファンシー』『罪の声』(20)、『痛くない死に方』(21)、『アイ・アム まきもと』(22)などがある。

吉原光夫 as 佐竹刑事

PROFILE

1978年9月22日生まれ、東京都出身。1999年に劇団四季付属研究所に入所。その後数々の舞台に出演し、劇団四季を退団以降も舞台・ミュージカルを中心に活躍。本作のメガホンを取る原田眞人監督作品には、映画『燃えよ剣』(19)、『ヘルドッグス』(22)に続き3作目の出演となる。近年の主な出演作は、舞台『レ・ミゼラブル』(19)、『ジョン王』(22)、NHK大河ドラマ「どうする家康」(23年1月~)、映画『美女と野獣』(17/声の出演)、『未来のミライ』(18/声の出演)、ディズニープラス『ガンニバル』(22)などがある。

江口のりこ as 日野班長

PROFILE

1980年4月28日生まれ、兵庫県出身。2000年に劇団東京乾電池に入団し、女優デビュー。映画『桃源郷の人々』(02)で映画初出演を果たし、その後映画のみならず舞台やテレビドラマ、CMなど多数出演し幅広く活躍。映画『事故物件 恐い間取り』(20)にて第44回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年の主な出演作は、映画『仮面病棟』(20)、『川っぺりムコリッタ』(21)、『ツユクサ』『“それ”がいる森』(22)、『波紋』(23年5月)などがある。公開待機作に、映画『アンダーカレント』(23年10月)が控える。

サリngROCK as 林田

PROFILE

1980年10月12日生まれ、大阪府出身。自身が中心となって結成した劇団「突劇金魚」全ての脚本・演出を手掛ける。劇作家としては、第15回OMS戯曲賞(08)、第9回AAF戯曲賞(09)を受賞し、『漏れて100年』(12)『少年はニワトリと夢を見る』(17)が岸田國士戯曲賞の最終候補に残る。また2019年、英訳された作品がニューヨークでリーディング上演された。演出家としては、若手演出家コンクール2012優秀賞を受賞、近年ではお笑いコントの演出協力など活動も多岐にわたる。映画・ドラマ等の映像作品への出演は本作が初。多方面での活躍が今後、期待される。

天童よしみ as 新井ママ

PROFILE

9月26日生まれ、和歌山県出身、大阪府育ち。歌手デビュー以降、長年に渡って愛されるヒット曲やCMソングを多数世に放ってきた。2017年には、女性アーティストとしては史上初となる三度目の日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞。また、NHK紅白歌合戦では紅組のトリを三度も務めるなど不動の人気を誇り続け、昨年歌手生活50周年を迎えた。さらに映画『湯道』(23年2月)にて、映画初出演を果たすなど今もなお活躍の幅を広げている。

大場泰正 as 教授(宇佐美)

PROFILE

1972年11月7日生まれ、東京都出身。1997年にNHK連続テレビ小説「甘辛しゃん」でTVデビュー。翌年に文学座座員に昇格。以降、劇団内外の舞台に数多く出演。2020年退団。本作の原田眞人監督作品の映画『日本のいちばん長い日』(15)で注目を集め、その後も同監督の『関ケ原』(17)や『検察側の罪人』(18)、『燃えよ剣』(21)、『ヘルドッグス』(22)に出演。近年の主な出演作は、映画『MOTHER』(20)や『忌怪島/きかいじま』(23)など。

淵上泰史 as 胡屋賢人

PROFILE

1984年4月30日生まれ、和歌山県出身。2011年に、映画『軽蔑』で俳優デビュー。テレビドラマや映画を中心に活躍。本作のメガホンを取る原田眞人監督作品への出演は、映画『燃えよ剣』(21)以来となる。近年の主な出演作は、映画『アウトサイダー』(18)、『デイアンドナイト』(19)、『一度も撃ってません』(20)、『おとなの事情 スマホをのぞいたら』(21)、『有り、触れた、未来』(23年3月)、『ヴィレッジ』(23年4月)などがある。

Staff

原田眞人 監督・脚本・プロデュース

黒川博行さんの原作は2015年の発売直後に読みました。…

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黒川博行さんの原作は2015年の発売直後に読みました。俗にいう「オレオレ詐欺」犯罪グループの内実がリアルに描かれていて、その世界観に惹き込まれ、監督目線で登場人物をあれこれ動かしたことを憶えています。実に刺激的な読書体験でした。その最大のポイントは、犯罪グループの元締めを補佐する立場の主人公橋岡を女性にしたらどうだろうということでした。例えば、ドストエフスキーの「虐げられた人びと」に登場するネリーを黒澤監督が「赤ひげ」に「包摂」したように。
ただ、私が手を挙げるのが遅かったために、映画化権は某社に渡っていました。辛抱強く6年待って、実現に漕ぎ着けたのは「ヘルドッグス」製作チームのおかげです。橋岡の性転換を心よく承知してくださった黒川さんにも感謝です。
理想のキャストも組めました。安藤サクラは「生きにくい」を「生き抜く」ネリーの魂の綱渡りを、橋岡ネリとして、美しく哀しく愛おしく舞ってくれました。世界の主演女優賞を全て差し上げたい名演です。原作の橋岡の疫病神的パートナーとなるサイコパス矢代穣は、沖田総司が現代に甦ったらこうなるのではないか、というコンセプトのもと山田涼介に参加してもらいました。沖田以上に切なく危険な若者を演じきった涼介の天才に私は魂を食いちぎられました。彼らを彩る関西演劇陣の濃厚なアンサンブルにも圧倒されます。一人一人紹介するのは公開間近まで待たねばならないのがとても残念。 沼津生まれのロスアンジェリーノ東京人の私が憧れ続けた「大阪弁フィルム・ノアール」はこの秋、世界に打って出ます!

PROFILE

1949年7月3日生まれ、静岡県出身。黒澤明、ハワード・ホークスといった巨匠を師と仰ぐ。1979年に、映画『さらば映画の友よ インディアンサマー』で監督デビュー。『KAMIKAZE TAXI』(95)は、フランス・ヴァレンシエンヌ冒険映画祭で准グランプリ及び監督賞を受賞。さらに映画『関ヶ原』(17)では第41回日本アカデミー賞優秀監督賞、優秀作品賞などを受賞。近年の主な作品は、映画『駆込み女と駆出し男』(15)、『日本のいちばん長い日』(15)、『検察側の罪人』(18)、『燃えよ剣』(21)、『ヘルドッグス』(22)などがあり、これまでに数多くの作品を手掛けている。

黒川博行 原作

監督の名を聞いて、一も二もなく映画化に同意した。名匠・原田眞人――。…

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監督の名を聞いて、一も二もなく映画化に同意した。
名匠・原田眞人――。多くの作品をわたしは見ていた。『クライマーズ・ハイ』や『わが母の記』をはじめ、近作の『関ヶ原』や『検察側の罪人』、『燃えよ剣』は重厚にしてスケールの大きい傑作だった。あの原田監督がわたしの『勁草』をどんなふうに映像化してくれるのか、楽しみでしかたなかった。そこへ演じるのが安藤サクラと山田涼介、これも申し分ない。安藤さんのさわやかな個性と自然な演技は原作の犯罪性をきれいに掬いとってくれるだろうとわたしは期待し、山田さんとのコンビネーションもあいまって、期待以上のみごとな出来ばえになった。原作者として、ほんとうにうれしい。

PROFILE

1949年3月4日生まれ、愛媛県出身。京都市立芸術大学美術学部彫刻科を卒業後、第1回サントリーミステリー大賞佳作を受賞した小説『二度のお別れ』(83)で小説家デビュー。さらに小説『キャッツアイころがった』(86)で第4回サントリーミステリー大賞、「カウント・プラン」(96)で第49回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞。第151回直木賞を受賞した小説『破門』(14)がドラマ化、映画化するなど、これまでに『文福茶釜』(99)、『後妻業』(14)など映画原作も多く執筆している。

原作本『勁草』

四六判上製本 2015年6月刊
徳間文庫版 2017年12月刊
黒川博行『勁草』(徳間文庫刊)

年間被害総額500億円超といわれるオレオレ詐欺。橋岡恒彦は「名簿屋」の高城に雇われていた。名簿屋とは、ニセ電話詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。橋岡は被害者から金を受け取る「受け子」の手配も任されていた。騙し取った金は捕まる危険の大きな「受け子」ではなく、大半は金主に入る仕組みで、高城の銀行口座には金がうなっている。賭場で借金を作った橋岡と矢代は、高城に金の融通を迫るが…。一方で大阪府警特殊詐欺班の刑事たちも捜査に動き出していた。追う刑事、逃げる詐欺殺人犯。直木賞作家が驚愕の犯罪手口と悪辣な実態を描き尽くすクライムサスペンス問題作!
単行本、文庫本、電子書籍をあわせた総販売部数は8万部を突破!

土屋玲子 音楽

PROFILE

東京都出身。二胡、ヴァイオリン奏者であり、作曲家としても活躍。1998年のAXIAアーティストオーディション・インスト部門にて最優秀音楽賞を受賞。プレイヤーとして多くのアーティストのライヴサポートやレコーディングに参加。
映画『検察側の罪人』(18)や『燃えよ剣』(21)、『ヘルドッグス』(22)といった映画の音楽やTVドラマ、舞台の音楽も担当。宮沢和史率いるバンド「GANGA ZUMBA」のメンバー。